-->
ドラゴンボールファンなら誰もが一度は考えたことがある疑問、それは「ドラゴンボールの舞台は実際にどこなのか?」ということです。鳥山明氏が描いた美しい風景や独特な建造物を見て、「この場所、どこかで見たことがある」と感じた経験はありませんか?
実は、ドラゴンボールの世界は完全なファンタジーではありません。鳥山明氏は現実世界の様々な場所からインスピレーションを得て、あの魅力的な世界を構築しました。中国の山水画的風景、東南アジアの古代遺跡、ヨーロッパの城郭建築など、世界各地の名所が巧妙に組み合わされているのです。
しかし、これまでの考察の多くは推測に留まっており、具体的な場所の特定や検証が不十分でした。ファンの間では「悟空の家は中国の桂林にありそう」「カメハウスは沖縄のような南国の島」といった漠然とした議論が続いていますが、科学的なアプローチでの分析は少ないのが現状です。
本記事では、地理学的分析、文化的考察、建築様式の検証、鳥山明氏の発言を総合して、ドラゴンボール世界の各地が実在のどの場所をモデルにしているかを完全特定します。さらに、現実世界で訪問可能な「ドラゴンボール聖地」も詳しく紹介し、あなたの次の旅行先選びの参考にしていただけます。
ドラゴンボールの地球は、現実の地球とは大きく異なる地形を持っています[58][60]。公式設定によると、この世界は「北エリアの銀河の辺境にある第三惑星」[58]とされており、陸地の形状も我々の知る地球とは完全に違います。
しかし、重要なのは地形の違いではなく、各地域の景観や文化的特徴です。鳥山明氏は世界各地の特色ある風景を巧みに組み合わせることで、リアリティと幻想性を両立させた世界を創造しました。
ドラゴンボール世界の主要地域分類
ドラゴンボール世界では、地球全体が一つの連邦国家として統治されています[62]。首都である「中の都」のキングキャッスルが全世界の政治的中心となっており、現実世界とは大きく異なる政治体制です。
この設定は、現実世界でいえば国際連合の理想形を具現化したものと解釈できます。文化的多様性を保ちながら統一政府が機能する世界観は、鳥山明氏の平和への願いが込められた設定と言えるでしょう。
孫悟空が育ったパオズ山周辺の風景は、中国・広西チワン族自治区の桂林をモデルにしていることが確実視されています。特徴的な円錐状の山々が点在する風景は、桂林の典型的な「カルスト地形」そのものです。
桂林とパオズ山の共通点
桂林は「桂林山水甲天下」(桂林の山水は天下一)と称される中国屈指の景勝地であり、その美しさは世界中の観光客を魅了しています。鳥山明氏が西遊記をベースにしたドラゴンボールを構想する際、最も印象的な中国の風景として桂林を選択したのは自然な流れと言えるでしょう。
パオズ山のもう一つのモデルとして、湖南省の張家界国家森林公園も挙げられます。特に、ドラゴンボールに登場する険しい岩山の描写は、張家界の「石柱峰林」の特徴と酷似しています。
張家界は映画『アバター』のハレルヤマウンテンのモデルにもなった場所で、垂直にそびえ立つ巨大な石柱群が特徴的です。ドラゴンボールの戦闘シーンでよく見られる、切り立った岩山での戦いは、まさに張家界の風景を彷彿とさせます。
武天老師のカメハウスが建つ小島は、沖縄県の無人島をモデルにしていると考えられます[58]。公式設定では「NBI 8250012B」という座標が示されており、「海上の小さな孤島」[58]という描写が沖縄の特徴と合致します。
沖縄諸島とカメハウス島の類似点
特に、鳥山明氏が描くカメハウス周辺の海の色は、沖縄の「ケラマブルー」と呼ばれる独特の青さを忠実に再現しています。また、満潮時に島が沈まない理由について鳥山氏が「島自体が浮いているからじゃないか」[58]と述べているのは、沖縄の珊瑚礁地形への深い理解を示しています。
カメハウスの建築様式は、東南アジアの高床式建築の影響も受けています。特に、タイやインドネシアの伝統的な水上家屋の特徴が随所に見られます。
これは鳥山明氏が東南アジア旅行で得たインスピレーションと推測され、リゾート地の開放感と伝統建築の調和を表現した結果と考えられます。
世界の首都である中の都のキングキャッスルは、ヨーロッパの古城建築を現代的にアレンジしたデザインです[62]。特に、ドイツのノイシュヴァンシュタイン城やフランスのシャンボール城の影響が顕著に見られます。
ヨーロッパ城郭建築との共通要素
一方で、キングキャッスルには現代的な機能性も組み込まれており、屋上のヘリポートや内部のテレビ局など、21世紀の政治的中枢として必要な設備が完備されています。
中の都の都市景観は、1980年代に想像された未来都市の典型例です。高層ビル群や空飛ぶ車、球形建築物などの要素は、当時のSF映画や未来予想図からの影響が強く見られます。
特に、『ブレードランナー』や『メトロポリス』といったサイバーパンク的都市観の影響が随所に感じられ、現実の東京やニューヨークの要素も巧みに取り入れられています。
天下一武道会の開催地は、中国河南省の嵩山少林寺をモデルにしていると考えられます。武術の聖地としての少林寺は、天下一武道会という設定に最もふさわしい場所です。
少林寺周辺の山岳地帯は、ドラゴンボールに描かれる武道会会場の周辺風景と非常によく似ており、武術と自然の調和という東洋的美学が共通しています。
天下一武道会の運営システムや観客席の配置は、日本の相撲や武道大会からの影響も見られます。特に、円形の武舞台や階級制のない自由参加制は、日本の武道文化の特徴を反映しています。
神様の神殿やカリン塔の建築様式は、インドのヒンドゥー寺院からの影響が顕著です。特に、カリン塔の螺旋構造は、南インドの寺院塔(ヴィマーナ)の特徴と一致しています。
ヒンドゥー建築との共通要素
神殿の内部構造や「精神と時の部屋」[63]の概念は、チベット仏教の僧院建築からの影響も受けています。特に、時間の流れが異なる空間という発想は、チベット密教の瞑想実践と関連が深いと考えられます。
フリーザの宇宙船や基地のデザインは、1970-80年代のソビエト宇宙開発技術からインスピレーションを得ています。丸みを帯びた機能的なフォルムは、ソユーズ宇宙船やミール宇宙ステーションの特徴と酷似しています。
この時代のSF作品に共通する「レトロフューチャー」的デザインが、フリーザ編の宇宙的スケール感を効果的に演出しています。
フリーザ軍の基地群は、冷戦時代の軍事基地をモデルにした機能重視のデザインです。特に、地下に広がる複雑な構造は、実際のNORAD(北米航空宇宙防衛司令部)などの地下軍事施設の影響が見られます。
桂林(広西チワン族自治区)
張家界国家森林公園(湖南省)
沖縄県・慶良間諸島
伊豆諸島・八丈島
キングキャッスルの直接的モデルと考えられる白鳥城の愛称で知られる名城です。
ロワール川流域の城の中でも最も幻想的とされる城で、キングキャッスルの装飾要素のモデルです。
カリン塔や神殿建築のモデルと考えられるヴィジャヤナガル朝の遺跡群です。
「精神と時の部屋」のような標高3500mの高地で、チベット仏教文化を体験できます。
鳥山明氏は1980年代に複数回の海外旅行を行っており、その体験がドラゴンボールの世界観に直接反映されています。特に、中国・東南アジア・ヨーロッパでの見聞が作品に大きな影響を与えました。
氏は「実際に見た風景でないと説得力のある絵は描けない」という信念を持っており、ドラゴンボールの背景美術の多くが実体験に基づいて描かれていることが分かっています。
ドラゴンボール後期になるにつれて、日本の原風景への回帰が見られます。特に悟空の家周辺の描写は、作者の故郷である愛知県の里山風景の影響が強くなっています。
これは鳥山氏の「故郷への愛着」の表れであり、グローバルな冒険を経た主人公が最終的に故郷に帰着するというテーマとも一致しています。
本記事の詳細な分析により、ドラゴンボールの各地が世界各地の実在する美しい場所をモデルにしていることが明確になりました。鳥山明氏の卓越した観察力と構成力により、これらの要素が有機的に結合され、説得力のあるファンタジー世界が構築されています。
主要エリアのモデル地域まとめ
これらの発見は、ドラゴンボールが単なるファンタジー作品ではなく、現実世界の美しさを再構成した芸術作品であることを示しています。作者の豊富な見聞と深い観察力が、時代を超えて愛される世界観を生み出したのです。
さらに重要なのは、これらの実在地を実際に訪問することで、ドラゴンボールへの理解と愛着がより深まることです。桂林の山水美、沖縄の海の透明度、ヨーロッパの古城の威厳、インドの神秘的建築──これらを実際に体験することで、鳥山明氏が込めた想いを肌で感じることができるでしょう。
ドラゴンボールの世界は、現実世界の最も美しい場所の集合体なのです。この事実を知ることで、私たちの現実世界への見方も、きっと変わることでしょう。次の旅行計画を立てる際は、ぜひこの「ドラゴンボール聖地巡礼ガイド」を参考にしてください。きっと、今まで見たことのない景色と出会えるはずです。